ツアー実施日:令和元年8月1日(木)
1. 目的
(公財)東京都道路整備保全公社では、都民のみなさんが、道とふれあい、道に親しみをもち、道が日々の生活に身近な施設であることを実感していただくために、「夢のみち」事業を実施しています。
この事業の一環として、施設を管理する東京都第三建設事務所の協力を得て、令和元年8月1日に「夢のみち」2019親子体験ツアー「神田川・環状七号線地下調節池見学ツアー」(午前・午後 2回開催)を実施しました。
2. ツアー概要
このツアーは、神田川・環状七号線地下調節池について知っていただくため、杉並区内にある善福寺川取水施設や地下調節池を東京都第三建設事務所の職員の方の説明を受けながら、見学するものです。
環状七号線地下調節池は、水害が多発する神田川中流域の水害に対する安全度を向上させるため、環状七号線の道路下約40mの所に、延長4.5km、内径12.5mのトンネルを建設し、神田川、善福寺川及び妙正寺川の洪水約54万㎥
(小学校のプールで約1,800杯分) を流入・貯留できる施設です。これまでに42回(令和元年8月1日時点)の流入を行い、浸水被害軽減に大きな効果を発揮しています。
3. 当日の流れ
①集合・受付
参加者の皆様には、西新宿に集合していただきました。受付を済ませ、大型バスに乗り、善福寺川取水施設に向かって出発です!
②神田川・環状七号線地下調節池概要等説明
取水施設に到着すると、管理棟の1階にある講習室に入りました。主催者の挨拶の後、東京都第三建設事務所の職員の方から、神田川・環状七号線地下調節池の施設全体の概要や役割等についての説明がありました。
たび重なる洪水対策として、地下調節池建設工事を2区間に分けて行ない、1期区間(2km)は平成9年に、2期区間(2.5km)は平成17年に概ね完成し取水を開始しました。調節池ができる以前はたびたび氾濫が起きており、その様子が分かるビデオが紹介され、平成5年(1993年)の台風では浸水家屋が3100棟を超える被害があったそうです。これが平成16年の台風の時には46棟へと激減し、浸水被害軽減に大きな効果を発揮しています。
善福寺川取水施設に到着
主催者の挨拶
地下調節池の概要説明
③模型室・中央監視室見学
次に、2班に分かれて、環七地下調節池の全体の様子が分かる模型室と、河川の状況がリアルタイムで分かる中央監視室とを見学しました。
模型室では、川が水であふれそうになった時に、ゲートが上がり、地下の調節池に水が流れ込む様子を見ることができました。この模型は、洪水を調節する仕組みを理解しやすいので、子供たちにも好評でした。また、竪穴(ドロップシャフト)では、水をいかに早く地下へ落とし込むか、ペットボトルを利用した実験にも、興味深く見ていました。
中央監視室では、現在の河川の状況がモニターに映されていました。万一の増水時には、水位を見ながらゲートの上げ下げをここで行うことができます。
調節池の模型を見学
ペットボトルで水が落ちる仕組みを実験
中央監視室のモニター
④神田川・環状七号線地下調節池見学
取水施設での見学を終えたら、いよいよ地下にある神田川・環状七号線地下調節池に移動です!
この調節池は、地下約34m~43mの深さにあり、階段とエレベーターが併設されています。子供たちは200段を超える階段を元気に下りていました。
下に着くと、トンネルの換気装置や洪水が治まった後、トンネルに貯めた水を再び河川に戻すための大きなポンプがありました。ここから地下トンネルに入るには、頑丈な防水扉を開け、人ひとりが通れるほどの狭い通路を通り抜ける必要があります。注意しながら通り抜けると、地上の取水口から地下調節池へ水を取り込む竪穴(ドロップシャフト)の脇に出ました。。
さらに地下調節池までは「連絡管きょ」と呼ばれるトンネルの中を150mほど歩かなければなりません。途中には、地元の小学生によって描かれた絵がありました。そして、目の前の視野が開けると、目指す調節池に到着です!内径12.5m全長4.5kmの巨大なトンネルとなっています。みなさん、想像以上のスケールの大きさにびっくりしていました。ライトに照らされたトンネル内は、地上との温度差から霧が発生していました。地上では30℃を超えているのに、ここでは18℃位しかありません。洞窟と同じで地下は涼しいのです。また、ここで全ての照明を消した「真っ暗闇」も体験していただきました。最後に全員の集合写真を撮り、暑い地上に戻りました。
階段で地下へ
ポンプ室に到着
防水扉を通り抜けます!
上の方に竪穴(ドロップシャフト)が見えます!
小学生の絵
連絡管きょから地下調節池に入る
巨大な地下調節池
⑤質疑応答・アンケート記入
全ての見学を終えた後、講習室に戻り、質疑応答とアンケートにご協力いただきました。参加されたみなさんからは、「なぜトンネルは丸く作るの?」「トンネル内でゴーッと音が聞こえるのは?」「連絡管きょの中央に水が溜まっていたのはどうして?」などの質問がありました。これに対して、「トンネルは丸い方が作りやすく安定している」「奥の方で清掃中の車の音が聞こえてくる」「管きょの中を速く流れる水の力で中央部分が削られたため」との回答がありました。このような道路下を有効活用した地下調節池について、みなさん楽しみながら学んでいただけたようでした。
4. ツアーをもっと知るには?
なお、本ツアーにつきましては、令和元年11月1日発行予定の当公社広報誌「TR-mag.57号」にも掲載する予定ですので、そちらも併せてご覧下さい。「TR-mag.」のバックナンバーは
コチラをご覧ください。